「ガレージハウス」は何か特別のものではありません。
一部の雑誌にあるような高級車を飾って鑑賞したり、車と自分でいじったりする人のためだけのものではありません。
もちろん、趣味やこだわりを実現する一つの家づくりの手法ではありますが、実用性という視点で改めて考え直しみると数々のメリットがあり、たんに車やバイクマニアのためだけの建物ではないということがおわかりいただけると思います。
たとえば真冬の霜取り、洗車回数、雨の日の送り迎え、買物の荷下ろし、防犯、外物置スペース、そのほか車の劣化も少なくなるため車買換え時の査定が上がるなど、メリットは数多くあります。広い土地である必要がないなど住宅計画の選択肢も広がります。
「ガレージハウス」というと一般的にご主人がいいなと思っていても、「書斎」と同じように奥さんの一言で却下されたりすることがあるようです。
ただ、もし物置とカーポートを建物と別に作るのであれば、いっそビルトインガレージにすることをお勧めします。実用性の高さを話したら奥さんにも少しは理解してもらえるのではと思います。
もちろん固定資産税が若干上がることになるかもしれませんが、仮に車2台分の駐車スペース10坪のガレージを作ったとして、一年に1万円前後の税金がかかる程度です。月に直すと約千円前後です。
アメリカでガレージ付の住宅が多いのは何も車好きが多いからではありません。
実用性が高く便利なためです。車のパワーウィンドウなど楽で便利な機能がアメリカで開発されることが多いように、住宅でも全館空調を含めガレージ付なのはいかに快適に過ごすかという思想が生活のベースに根付いているからだといえます。
車やバイクなどを趣味とする方はもちろん、そうでない方にも実用性からガレージハウスを提案します。現在計画中の場所で計画してみてはいかがでしょうか。
ニュースや行政でもたまに取り上げられているように、全国的な傾向として市街地に空地空家が増加しています。手入れなされない放置された不動産は、景観的なことだけでなく、ゴミ・害虫・放火等地域の防犯上からみてもマイナスの社会資産となっています。
国土交通省などで既存住宅のリフォームや中古住宅流通市場をこの数年間で現在の倍の規模にするという目的のもと、補助金をはじめ数々の施策がとられていますが、それも一つにはこのような空地空家が増加している状況があるためです。
国土交通省のワーキンググループから生まれたものに、一定の優良な住宅であればマイホームを借り上げてくれる移住住み換え支援機構という社団法人がありま す。その最終的な目的とするところも、貴重な社会資産である住宅の再利用や有効活用であり、今後の空地空家の対策の一つと言われています。
郊外の新規の分譲地ばかりが住宅用地ではありません。若い方が既存の市街地に住まうことで、人口が増え世代間の交流が生まれ、街が循環していくことで再生され活気のある街づくりにつながっていくと考えます。
たんに少し道が狭い、同世代の人が隣にいない、というただそれだけの横並び思想の安心感だけで家づくりがなされてきたことが、今のこの日本の街をつくってきたおもな要因です。
ぜひ市街地での住まい、それを具体的に実現する合理的な手段としても、ガレージハウスはその一つの形態と考えます。